写真は山梨のブドウ畑。
ブドウの葉からの木漏れ日に憩いながら、一粒一粒、一生懸命ブドウを食べた。
さてここから本題。私は女性なので、月のものが来る。
初潮が来てからもう20年経つというのに、1日目は未だに慣れない。
いつも少しばかり、ぎょっとしてしまう。
それでも「月に1回は来る」、という体の営みの正確さに敬意をおぼえながら、ああ、だから2日前くらいから気分が落ち込みやすかったのか、と合点がいったり、今月は生理痛はどうだろう?と身体にお伺いをたてたりする。
この月に1回来るもののおかげで、自分が体ありきのものだということを再認識させてもらえるのだ。
そして、この生理がらみのことでずっと腑に落ちないことがあった。
それは、布ナプキンの存在だ。
使い捨ての紙ナプキンの利便性を捨てて、何故、あえての布ナプキンなのか?
通気性が良い、それは分かる。
肌ざわりが良くてかぶれにくい、それも分かる。
でも、使った分、洗濯しなければならないのだ。
女性の方なら、経験ある方がほとんどだろう。1日目が来たことに気づかずにショーツを汚してしまったこと、うっかり経血がもれてしまったこと。
あの時の手洗いの面倒くさいことったらない。
洗濯機にそのまま放りこめれば良いのだけど、血液の汚れは手洗いでなければ落ちづらいのだ。
また、お湯では血液成分が固まって落ちづらくなってしまう為、冬場でも水で洗わなければならない。
これを、使用した分、全部洗うだとー?!
想像しただけで、面倒くさがりやの私は冷や汗が出てくる。
「なぜ、好き好んで、そんな苦行を?」とずっと疑問であった。
しかし、この疑問が関係ないところから点と点が結ばれて、腑に落ちた。
以前のブログにもちらっと書いたが、稲垣えみ子氏のエッセイ『寂しい生活』を読んだことがきっかけだ。
稲垣氏は、3.11の原発事故をきっかけに、この事故の末端の末端に、自分自身も加担してしまってるのではないか、人に押し付ける気は毛頭ないが、できる限りの節電をやってみようではないかと決意した。
そして、徐々に家電を手放していく。掃除機を捨て、洗濯機を捨て、電子レンジを捨て、冷蔵庫を捨てた。
掃除機を捨てたらどうなるか…ほうきとちり取りで、掃除する。掃除機のコードが絡むことや大きな音、排気から解放される。
洗濯機を捨てたらどうなるか…手洗いする。そうすると数多い洋服や厚手・大判のタオルは手に負えなくなってくるので、身の回りの衣類が自然と選別される。また、必要以上の服を欲しいと思わなくなってくる。
電子レンジ・冷蔵庫を捨てるとどうなるか…食料を無駄に買えなくなる。その日その日の身の丈に合った量を、自炊することになる。
端から見たら、先ほどの布ナプキンに対する私の疑問と同じように「なぜ、利便性を捨てて、そんな苦行を?!」と言いたくなるだろう。
しかし、稲垣氏は、節電をすればするほど「自由を手にいれた」という。
何からの自由かといえば、欲望からの自由だ。
冷蔵庫は特に顕著だが、保存できてしまう便利さがあると、今、特別に必要でなくても、人は身の丈以上に物を欲しくなってしまう。
自分の手に負えない物に囲まれて、使い切れずに食べ物を捨てたり、着ない服に囲まれたりして、気づくと、疲弊している。
それなのに、ネットの世界だろうが、現実の世界だろうが、一歩外へ出れば、広告など物への欲望をかきたてられてしまう。
節電生活は、自分の身の丈を知り、自分と向き合うことで、必要以上にものを欲しいと思う苦しさから解放された、というのだ。
また、利便性を捨てたことで、それまで見えなかった生活の楽しみが立ち現れてくることがある。
稲垣氏の場合は、手洗いでジーンズが思ったように色落ちするかどうか日々楽しんで実験することや、野菜を長期保存する目的で、干し野菜や漬物を喜々として作っている。
私はここで、布ナプキンの効用を見たのである。
布ナプキンを手洗いすることは、ある側面から見たらただの面倒くさい手仕事である。
しかし、紙ナプキンであったら、自分の経血をまじまじと見ることもせず、くるくると丸めてポイのところを、布ナプキンの場合はどうしたって、真正面から経血と向き合うしかないのである。
便からその時の健康状態が分かるように、経血も自分の体の状態を語りかけてくることだろう。
自分の体と能動的に向き合うことは、自分にしかできない自己充足の時間でもある。
「今月もがんばってるねぇ」となんとなく、自分の体を労わってあげたい気持ちになるかもしれない。
生理期間中を憂鬱な気分で過ごすよりも、自分と向き合う手仕事の時間をいれることによって、自分の体を肯定的に捉えられるなら、敢えて布ナプキンを選ぶ人がいるのも納得できる。
まあ、納得できるだけで、布ナプキンを使おう!という決意にはならないのが、面倒くさがりの私らしさでもあります…
因みに、便も経血も流す(捨てる)前にじっくり見る派です。
そして、稲垣氏に影響されて、ほうきでの掃除を始めました。早朝に掃除したい時、音が近所迷惑にならないので、とても重宝しています。
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