昨日、オーダーメイド全身調整を受けて下さったお客様が
「本当に丁寧に身体を見てくれるんですね」
と、帰り際に言ってくださった。
その方は控えめで、内気な、物腰柔らかく優しい方なのだが、
ああ、愉和法の施術の良さが伝わっているのだな、と、とても嬉しく思った。
開店して5か月、まだ全然お客様が入らない日もある。
そして、この全身調整の見た目は地味で、押さないし揉まないし、端から見れば、ただ体をそっと触っているようにしか見えない。
しかし、本当は、どの1点を触るのか、これを常に見極めている。これは指1本、その指の関節1つずれても施術の通りが全く違ってしまう。
そこには並々ならぬ集中力と指先の感覚でつながるお客様の体との対話があるのだ。
また、決して押し付けないし、体に「こうなってほしい」と求めない。
お客様が事前カウンセリングで、いかに滔々と体のつらさや痛み、重い病名や投薬の話をされても、いったん体と向き合ってしまえば、それは一回脇に置いておく。
ただ、今、前にある体の言葉を傾聴するしかないのだ。
実際に、施術中は、音楽を聴くように、目をつぶってお客様の体と手の感覚に集中していることがとても多い。
そして、今ある身体との出会いは一期一会だ。
同じお客様だとしても、日によって体の状態は違うし、触るべき場所も勿論変わってくる。
開店した今年の5月は、お客様にまた来てもらうにはどうしたら良いだろう、と考えていた。
でもその考えすら、施術中の頭によぎることはなくなった。
リンパドレナージュの施術でも、全身調整でも、今日出会えた体は今日だけのものだ。そして、今日の私の肉体も、今日だけのものだ。
そう思うと、今、目の前にあるお客様の体が大切で、愛おしいものに感じる。
その体から発せられる声をひとつも逃すまいと、良い集中力が生まれる。
そういえば、水曜日のカンパネラのコムアイさんがこんなことを言っていた。
人は惑星だと思ったらいい。
人は惑いながら生きているけど、惑星の軌道は決まっていて、それに沿って生きている。
人と人が出会うのはその軌道がクロスする時で、次会えるのは80歳かもしれないし、もしかしたら死んだあとかもしれない。
違う姿で違う匂いで気づかなくても、また何万年先で惑星の軌道が重なるかもしれない。
お客さまの軌道と私の軌道が重なってくれたこと、そして、お身体の声を聞かせてもらえること。
この惑星の軌道のクロスに感謝しながら、体と向き合っていこうと思う。
コメントをお書きください