そういえば自粛期間中は、ブックカバーチャレンジなるものがSNSで流行していました。
自分のおすすめする本の表紙を1日1冊ずつ7日間紹介し、SNSでつながっている友人にバトンを回す、というものです。
残念ながら私のSNS(個人のFacebookのみ)は幽霊部員のようであまり活動的ではありませんし、誰からもバトンは回されていません。
しかし、ふと、岡本太郎の『自分の中に毒を持て』を読み返したくなりました。
この本は大人になってから初めて手にしたのですが、できれば10代の頃に出会っておきたかったです。
生き方に迷っている時、決断力が落ちている時、自分を奮い立たせたい時には良書です。
私個人の感想を長く書いても、この本の魅力はなかなか伝えられませんので、ちょこっと本文を抜粋。
『危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ。ほんとはそっちに進みたいんだ。
だから、そっちに進むべきだ。』
『文明がさらに発達するにつれて、恐怖感をもつ人はもっと増えてくると思う。
恐怖感は自分ひとりではなく、これは人類全体の運命なんだと思って、取り組んでいけば、意外に救われるんじゃないか。』
『ぼくが芸術というのは生きることそのものである。
人間として最も強烈に生きる者、無条件に生命をつき出し爆発する、その生き方こそが芸術なのだと強調したい。
(中略)
私の言う「爆発」は音もしない。物も飛び散らない。全身全霊が宇宙に向かって無条件にパーッとひらくこと。
それが「爆発」だ。』
自分の生きてきた道を振り返っても、行くであろう道を前にしても心に刺さる言葉の数々です。
この本全体に、勇気をもらえる岡本太郎の名言が詰まっています。
本を置いて街へ出ます。
私の住む群馬県に、岡本太郎の作品に直接触れられる場所があります。
それは前橋市の広瀬川沿いにある、『太陽の鐘』です。
1999年まで静岡県の日通伊豆冨士見ランドに設置されていたものが、2018年に前橋市に寄贈されました。
広瀬川沿いの道を歩いていくと、木や草の緑でかこまれた太陽の鐘が見えてきます。
私としては、もっとよく見えるように公園や空き地のど真ん中に置いて、それを見た子どもたちが
「あの鐘なんでトゲトゲしてて、お顔があるの~」
なんて言えば面白いのになあ、と思うのですが、何故かこのようにちょっと隠れた場所にあります。
鐘をつく撞木は24メートルもあり、撞木の下は鐘に向かう小径になっています。
太陽の鐘のお顔は、太陽の塔と似ています。
鐘の上には沢山の人が両手を挙げて座っていて、後ろには「TARO」のサインが彫ってあります。
じっと人類の行く末を見据えているような、角度によっては睨んでいるような、見る人の心模様をあぶりだすような表情です。
=番外編=
NHKの「びじゅチューン!」という5分番組があります。
アーティストの井上涼さんが絵画や彫刻などあらゆるアートに触れて、自由に発想したものをポップな歌にしちゃう面白い番組です。
この番組で太陽の塔をとりあげた回がありました。
作品の解説を織り込みながら、太陽の塔をどんなことにも動じず受け入れてくれる保健室の先生に見立てた歌があり、それはそれは秀逸でした。
ちょっと落ち込んだ時につい見てしまう、「保健室に太陽の塔」
ぜひ皆さんもご覧ください。
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