愉和法の整体でつながりのある大切な方から、頭部や顔、口周りに特化した整体の本を教えて頂いた。
なぜ頭部や顔に関連する整体について深堀りしたかったかというと、頭部や顔は愉和法の整体で必ず触れる身体の部位だからである。
もっと突っ込んで言ってしまうと、愉和法において顔や頭部の調整無しにして、全身の調整はあり得ない。
教えて頂いたこれらの本は、解剖学の知識だけでは到底追いつけない、頭部や顎、手や足が全身とどのようにつながり、反応として出るのかがとても詳しく載っていた。
今までの経験上、「ここを調整することで、離れたこの部位も調整できる」と分かっていたことの確認にもなったし、意識できていなかった離れた部位の繋がりも沢山知ることができる。
そして、その知識があるか否かは、施術のやり方や触れる場所が同じであっても、結果が異なってくるように感じる。
ここを触ることによって、離れたこの部分にも働きかけることができる、と知っていること、意識できることは、咄嗟の時や積み重ねた時に大きな差になるのだ。
さてさて、せっかくなのでこの本に載っている整体を自分でも試してみる。
例えば、親指側の手根部を軽く刺激することによって行う下顎と足底アーチ(土踏まず)の調整。
調整法は大菱形骨周辺の凸部を指で外側に軽く押し込む、という指示が書いてある。
しかし、試している内にあることに気が付いた。
どうやら、押し込もうとしなくても、軽く触れていれば身体が勝手に動いて調整してくれるらしい。
実際に、押し込もうすると、それがとても軽い力加減であっても「押す」ことに意識が向く。
そうではなくて、指示されている部位(この場合は親指側手根部)を纏っている空気にそっと手を置く感じ、
そうしていると手が置かれている親指手根部が自動的に外側方向に動き出すのを感じることができる。
そうこうしている内に肩関節にその動きが波及し、顎がゆるみ、身体の中央を介して膝や足首、土踏まずが勝手に動き出すのが分かる。
その反応が終わるまで軽く触れ、反応が終わったら手を離し、30秒ほど待ってみる。
そうして足裏を見てみると、手根部に施術をした側と同側の足裏にくっきりと土踏まずが出来ていて、立った際の重心の移動や足指に力が乗っているのを感じることができた。
やはり、触れることと、それに対応する身体の自己調整力は偉大だな、と思う。
意識するよりも速いスピードで、身体のあらゆる配線に、必要な分の信号が伝わっていくのがよく分かる。
これは、普段の私が愉和法という手の感覚と優しく触れることを重視した整体を行っていることもあるかとは思うが、本来、誰の身体にも備わっている配線であり、優しく触れることは誰でもできる行為である。
また、普段の施術でも感じることだし、これらの本にも書いてあることだが、顔周りや頭部は全身の調整ポイントが集まっているところだ。
優しく触れてみて、自分が気持ちよいと思うところ、身体がゆるむ感じが得られるところは、そのままご自身の身体の調整ポイントになる。
例えば、鼻から上顎、下顎を優しくてのひらで包むように触れてみて、顔や胸、お腹がゆるむ感じがする方は、その反応が終わるまで優しく触れていると、膝や足首までの調整もできる。
側頭を優しく触れて良い感じがする方は、そのまま優しく触れていると、顎の疲れや肩の張り、内耳のバランスや背中の突っ張った感じが緩むのを感じることができる。
後頭骨は視野の狭窄や眼精疲労、首や腰の疲れの改善に、
頭頂付近は肩や肘、股関節や膝など腕や脚のあらゆる部分が調整されるのを感じられるかもしれない。
コツは強く刺激しないこと。
普段、強圧で身体を刺激している方は「こんなんで大丈夫なの?」と不安になるかもしれないが、特に頭部や顔に強い刺激はいらない。(逆に強い押圧は頭痛などの弊害になる可能性が高い)
優しく触れて、身体に意識を向けて、全身の反応を待つだけ。これだけである。
現代はどんなことでも情報が溢れている。
身体のことも、これをやるべき、これをやるな、この食事法が良い、断食しろ、この健康器具が良い、など情報をつかもうとすると多すぎて溺れてしまう。
自分の身体の感覚、自分の身体が何が快で何が不快いなのか、身体にお伺いを立てることをしないまま、強い刺激のものやその場しのぎのもの、短絡的なことをやるのは、楽なようで遠回りだ。
お金もいくらあっても足りない。
まずは、自分の身体の気持ちよいと感じるところを探し、優しく触れてみること。
その後に、もし可能ならば、家族やペット、生きているものに触れてみること。
これを意識的に行ってみると、必然的に自分の身体が自己調整してくれること、触れることによって相互作用を起こし、身体が良いように変化することが分かるはずだ。
これは大きな自己充足と自信、精神安定につながる。
そして、身体の快不快に敏感になれば、あらゆること、もの、情報の判断に迷うことが減ってくる。
流動的に動く身体や精神の、その時々のバランスに合ったものを柔軟に選ぶことができる。
私もまだまだ途上だが、迷った時は身体に回帰するように意識している。
コメントをお書きください